RIMS共同研究(公開型)

部分多様体と離散化の幾何学

— Geometry of submanifolds and their discretizations —

日程
2024年6月24日(月) 午後 ~ 2024年6月26日(水) 午前
会場
京都大学数理解析研究所111号室 & Zoom (ハイブリッド開催)

参加登録
参加登録はこちらからお願いします.
期限:2024年5月23日(木) ※ 講演者の方は入力不要です.

講演者
伊藤 仁一 (椙山女学園大学)
川上 裕 (金沢大学)
川久保 哲 (兵庫県立大学)
岸田 陸玖 (東京工業大学)
國川 慶太 (徳島大学)
小磯 深幸 (九州大学)
軸丸 芳揮 (東洋大学)
原 誠弥 (神戸大学)
廣瀬 三平 (芝浦工業大学)
安本 真士 (徳島大学)
山口 夏穂里 (立命館大学)
タイムテーブル
6/24 (月) 6/25 (火)
09:30~10:30 軸丸
10:45~11:45 廣瀬
Lunch
13:30~14:30 川久保
14:45~15:45 安本 山口
16:00~17:00 小磯 伊藤
6/26 (水)
09:00~10:00 岸田
10:15~11:15 川上
11:30~12:30 國川

6月24日 (月)

13:30~14:30
原 誠弥 (神戸大学)
Minimal surfaces in Isotropic space with planar curvature lines
In this talk, we introduce the surface theory in Isotropic 3-space and focus on minimal surfaces with planar curvature lines in it. We classify all minimal surfaces with planar curvature lines, with their explicit parametrizations, and recover their canonical Weierstrass data. Finally, we give a deformation of them by using the axial directions.
14:45~15:45
安本 真士 (徳島大学)
Semi-discrete K-surfaces revisit

3次元ユークリッド空間内のガウス曲率負一定曲面(\(K\)曲面)は,対応する可積分条件がサイン・ゴルドン方程式で記述されることから, 微分幾何だけでなく可積分系の観点からも興味深い対象として研究が進められてきた.

今回,Wallnerによって定式化された半離散\(K\)曲面に焦点を当てる.半離散\(K\)曲面の可積分条件から, 対応する半離散サイン・ゴルドン方程式が導出されたが,半離散サイン・ゴルドン方程式に対する可積分変換の性質や, 半離散\(K\)曲面の曲率を始めとする幾何的特徴についてはほとんど調べられていない. 本講演では,半離散\(K\)曲面の諸性質について,これまでに得られた成果について紹介する.

本講演は,森北隼理氏(徳島大学大学院創成科学研究科)と現在進行中の共同研究に基づく.

16:00~17:00
小磯 深幸 (九州大学)
区分的に滑らかな曲面の内在的特異点と測地円の幾何
滑らかな曲面の測地円の長さの半径についての級数展開公式が,Bertrand-Puiseuxの定理(1848年)として知られている.本講演では,この公式を区分的に滑らかな曲面に対して一般化する.そして,両者が相異なる項に着目して,区分的に滑らかな曲面の内在的な特異点とそこでの曲率を定義する.さらに,これらの概念を用いることにより,曲面についての微分幾何的な量と位相幾何的な量を繋ぐ公式として重要なガウス-ボンネの定理を簡明な形で表現する.

6月25日 (火)

09:30~10:30
軸丸 芳揮 (東洋大学)
純圧縮トラス構造と離散S-isothermic曲面
すべての部材に圧縮力が作用して釣り合う(純圧縮)トラス構造は,設計の観点で重要な対象である. 通常は三角形からなるトラスが扱われるが,我々は四辺形からなる純圧縮のトラス構造に焦点を当てる. 本講演では,そのようなトラスの釣り合いおよび形状生成を考える場合,離散S-isothermicと呼ばれるクラスの離散曲面が有効に用いられることを紹介する.
10:45~11:45
廣瀬 三平 (芝浦工業大学)
離散外積解析のミメティック離散化としての実現について
微分形式の離散化はこれまでに様々な研究が行われてる。例えば、Whitney形式を用いた離散化、あるいはHiraniによって提案された離散外積解析(Discrete Exterior Calculus)などである。これらの離散化では、多様体の三角形分割となる単体的複体のコチェインを微分形式の離散化と考えることは共通であるが、コチェインからなるベクトル空間への内積などの演算の入れ方が異なっている。Whitney形式を用いた離散化では、コチェインにもとの多様体上の微分形式であるWhitney形式を対応させることにより演算を導入する。一方、離散外積解析では、三角形分割の三角形を外心を用いて分割したものを用いて演算を導入する。本講演では、離散外積解析の基本的な事柄の説明からはじめ、離散外積解析がWhitney形式を用いた離散化の枠組みを一般化したミメティック離散化として理解できることについて述べる。
13:30~14:30
川久保 哲 (兵庫県立大学)
離散 Kirchhoff 弾性棒の分類について
Kirchhoff 弾性棒とはピアノ線のような一次元弾性体の数理モデルとして古くから研究されているものである.本講演では離散 Kirchhoff 弾性棒の分類について得られた結果を報告する.講演内容は福岡大学の松浦望氏との共同研究に基づく.
14:45~15:45
山口 夏穂里 (立命館大学)
On statistics which are almost sufficient from the viewpoint of the Fisher metrics
We introduce a quantitatively weak version of sufficient statistics such that the Fisher metric of the induced parameterized measure model is bi-Lipschitz equivalent to the Fisher metric of the original model. We characterize such statistics in terms of the conditional probability or by the existence of a certain decomposition of the density function in a way similar to characterizations of due to Ay-Jost-Lê-Schwachhöfer and Fisher-Neyman for sufficient statistics.
16:00~17:00
伊藤 仁一 (椙山女学園大学)
メビウスの帯の平均曲率と直観幾何学のいくつかの問題
1930年に M. Sadowskyは、2つのシリンダーを使用して、半径 1 の円柱2つと半径 2 の 1 つの円柱を用いて可展面からできるなる(平らな紙で作ることができる)メビウスの帯を構成した。 この講演では、同じ半径の円柱を用いることにより、M.Sadowskyのメビウスの帯より平均曲率の2乗の積分の値が小さくなる例を紹介し、 何回か捻ったメビウスの帯に対しても考察する。更に、直観幾何学と言えるようないくつかの問題についても紹介したい。

6月26日 (水)

09:00~10:00
岸田 陸玖 (東京工業大学)
共形平坦な多様体の体積に関する性質と,marginally trapped submanifold への一般化について
共形平坦な多様体は,光錐の超曲面として捉えることができる. この事実から,共形平坦な多様体に対して,Minkowski時空内で変分を考えることができる. 本講演では,スカラー曲率が恒等的に零である場合,その共形平坦な多様体は付随する光的な超曲面において体積極大性を持つことについて説明する. またその発展として,Minkowski時空内の余次元2の marginally trapped submanifold への一般化について説明する.
10:15~11:15
川上 裕 (金沢大学)
Further progress in value distribution theory of the Gauss map of minimal surfaces
In this talk, we give an overview of our recent works on value distribution theory of the Gauss map of minimal surfaces in Euclidean space. This is based on joint works with Shunsuke Kasao and Mototsugu Watanabe.
11:30~12:30
國川 慶太 (徳島大学)
Self-shrinkerのモース指数評価と今後の課題
本講演では余次元の高いself-shrinkerのモース指数が第1ベッチ数により下から評価できることを紹介する。ただし、その結果を得るためには重み付きリッチ曲率に関する技術的な仮定が必要である。超曲面ではそのような仮定が不要であることを考慮すると、我々の結果には検討・改良の余地が大いに残されている。講演では、その辺の事情も含めて現在進行中の話や今後の展開について話す予定である。本講演の内容は櫻井陽平氏(埼玉大学)との共同研究に基づくものである。

世話人
直川 耕祐(広島工業大学) k.naokawa.ec@cc.it-hiroshima.ac.jp